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婦系図(おんなけいず)

婦系図 (新潮文庫) Book 婦系図 (新潮文庫)

著者:泉 鏡花
販売元:新潮社
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 「切れろ別れろのッて、そんな事は芸者の時に云うものよ。私にや死ねと云つて下さい」なんて科白は原作にはなく、ましてやその科白の場面、「湯島の白梅」といわれるような、主人公がお蔦に向かって別れを告げる描写は無い。それが「婦系図」の原作。

 神楽坂の街案内では、軽子坂を上がりきったところ、本多横丁手前に位置する料亭の「うを徳」付近で「泉鏡花作品、婦系図のお蔦のモデルである桃太郎(本名:すず)に鏡花が出会ったと言われるのがこの界隈で、うを徳は彼の師匠の尾崎紅葉が贔屓にしたそうです」といった説明を聞く。
 街の雰囲気と相まって、芸妓と作家、作品では芸妓と文学士、の話は、映画を見ていなくても小説を読んでいなくても、艶のあるエピソードとして好まれるようだ。だが、具体的に想像できる人は少ないだろう。

 では、この有名な小説を文学史の知識だけにせず、読んでみた。
 びっくりした。断片的に耳にして想像していたものとはまるで違った。メロドラマとは言い難く、むしろ、階級闘争文学のように読める。小説の物語の展開は 二段階構成になっていて、その構造にいささか無理があり、軋みすら感じる。その展開は「もしかしたら韓流?」と首をかしげてもいい。
 その軋みも、余計驚きを強調させたような気がする。若き文学者と元芸者の恋人との悲恋、は修飾的な構成要素でしかなく、主題は、出自を始めとした階級の問題を問うことにあるのではないかと認識したが、百聞は一読にしかず。

Liz wrote

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